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デザインの価値ということ
こんにちは
企画設計部です。セミも鳴き止み夏の終わりを感じたいところですが、暑さはまだまだ容赦なく襲いかかってくる日々が続いております。
さて、今回の社内で行った勉強会は前回の続編として現代建築の住宅を紹介しました。
美しさと機能性については、別々の概念として語られることが多いように感じます。
過度には美しさと機能のどちらをとるか、のようにトレードオフの関係にあるように語られることもあります。
しかし、個人的な考えてしては「美しさも機能のうち」であると考えています。
つまり機能を構成する要素の一つが美しさであると。
そして、デザインはその二つを内包している手法のように感じます。
「デザインは問題を解決すること」
今回の社内勉強会で紹介した住宅も、それらが同居しているからこそ評価されているように思います。
例えば、西澤立衛の「house A」という住宅があります。
こちらは、プライバシーを守りながらいかに外部を取り組むかという課題に取り組んだ住宅です。
細長い敷地に対して、箱のボリュームを大きくしたり、小さくしてさらに横方向にズレを作るながら空間が連続しています。
それから生じたスペースが庭になり、少しの隙間から光が差し込み、とてもみずみずしい空間になっています。
「大きさの違うハコをずらして並べる」というシンプルな操作が、魅力的な空間を生み出す作品です。
同様な課題に取り組んだもう一つの例が中村拓志の「house SH」です。
道路に対して、ぽっこりと歪んだ壁が立っている住宅です。
この歪みが室内の環境を作る上で、重要な役割を果たしています。
基本的に、外から住宅内部を見られたくないため、道路に対してマッシブな壁を建てて、光はトップライトでとりいれるという手法が解答の一つとしてありますが、
この「house SH」は道路と隔てる壁に巨大なボールがぶつかったかのような歪みを作ることで、トップライトからはいる光が乱反射し、より明るい住環境を作り出しています。
これらの作品のように、敷地や住み手の要望にたいして、美しさと機能性を同居させること。
それがデザインの価値なのだと思います。
さらには、この価値は状況によってアメーバのように形を変えます。
そしてそのデザインを実現するためには、さまざまな工夫が必要になります。
今までにないデザインの多くには、今までにない細かい部分での納まりを考える必要があります。
現場の職人さん達が今までの経験をつなぎ合わせて、新しい納まりを提案してもらえることもしばしばです。
課題を解決するという意味で、これもデザインなのだと思います。
そしてそこには当然のように美しさと機能性が伴っています。
そいうった瞬間に出会うと、プロの仕事に感動し
この仕事をできていることに感謝したくなります。
「世界は誰かの仕事でできている」という缶コーヒーのキャッチコピーは素晴らしいと思う今日この頃でした。
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